自分の作品を折り図化する場合、実際に図を描くよりも前に手順化という作業を行っています。 これは実はすっとばしても折り図自体は描けるのですが、より分かりやすく、説明しやすく(=描くのが楽)、無駄のない(=図の数が減る)手順などを事前に考えておく事で、折り図の質を高めることにつながります。また、手順を整理しておくことで図を遡った修正なども減らすことができます。
具体的には、実際に何回か折って、手順や作品自体の整理を行います。折る順番を変えたりしながらある程度の試行錯誤が必要です。
- 事前につける必要のある折り筋の精査
- 折り筋をつける順番
- 折り畳み手順の検討
- それが説明可能かつなるべく図解しやすいことの確認
- 場合によっては作品自体の変更と修正
- 曖昧な基準や折りの整理
- 仕上げの折りをどこまで説明するか線引き。
こんなところだろうか。結構いろいろと考えています。
・事前につける必要のある折り筋の精査
展開図の折り筋全部を事前につけてしまうのも一つの手ではありますが、実際には手順で自然につけられる折り筋や、折る時につけても問題ない折り筋も多いものです。また、たくさんの折り筋がついていると、図解作業の手間も増えてしまいます。 確実につけておく必要のある折り筋を精査しておけば、図を見やすく、無駄な手順を省く、作業の省エネ化などが期待できます。
・折り筋をつける順番
基本は分かりやすく・折りやすくです。例えば蛇腹状の折り筋をつける場合、まず1/2、次に1/4、1/8といったように、順番に細かくしていくと、折り間違いなどを減らす事ができます。また誤差の出にくい手順、さらには漸近法等を利用した誤差を目立たなくする手順なども考えられます。このあたりは今後の研究が期待されます。
・折り畳み手順の検討
「展開図どおりに折り畳む」はなるべく避けたいので、なるべくまともな手順を考えます。先に折るべき部分や、条件が揃わないと進められない部分などもあるはずなので、比較検討しながらより良い手順を探します。 なにより無駄がない手順であれば、図解の手間もその分減ります。
・説明可能かつなるべく図解しやすいことの確認
上記の項目と被りますが、それぞれの手順がなるべく説明しやすいことや、なるべく同時に折り畳む工程を潰す(=立体図を減らす)など、折り図にした時の事も考えた手順にするとよいでしょう。
・場合によっては作品自体の変更と修正
とはいえ、そもそも良い手順に出来ないような場合もあります。内部構造や細部を修正することで改善できるのであれば、作品自体の修正も検討するべきです。
・曖昧な基準や折りの整理
細かい形や、曖昧な折りなどはなるべく整理しておきます。基準等もなるべく決めておくといいですね。
・仕上げの折りをどこまで説明するか線引き
これは作品によりますが、仕上げの比率が大きい作品の場合、たとえばぐらい折りや曲線を完全に説明するのは不可能です。また、用紙や大きさによって調整しなければいけないような部分は、折り図では説明しにくい(もしくは意味がない)場合もあります。ある程度割り切って、説明する部分としない部分の線引きを行う必要があるでしょう。
最後に。 分かりやすい手順、きれいに折れる手順、覚えやすい手順、折りやすい手順、図にしやすい手順、面白い手順、いろいろな手順が考えられますが、全てが同じ結果であるとは限りません。また全てを満たす完璧な手順はそうはありません(例えば一般的な折り鶴の手順はほぼ完璧ではあるのですが、「きれいに折れる手順」だけを考えるならより良い手順が存在します)。 2つくらい優先する項目を決めて、それを基準に考えるとよいかと思います。
「段取り八分」という言葉もあります。手順の整理は折り図制作の一部と考えて、しっかりと準備をしておくとよいですね。