空間充填ユニットの解説

ユニット折り紙作品は、多くの場合平面もしくは多面体をベースとして球状に組み立てます。球状に組む場合、外側・内側で表裏が生まれます。他にドーナツ型なども考えられますが、この場合も表裏があり、球体組みのバリエーションと考えることができるでしょう。

余談になりますが、トム・ハル氏の「Pentagon-Hexagon Zig-Zag (PHiZZ) Unit」で組んだ「クラインの壷」は、まさにこの表裏をコンセプトとしたものです。帯状のパーツを途中で山谷を逆にして表裏の接続をしています。 http://origametry.net/

平面・球体以外の組みパターンはあるのかと考えた時、答えの一つとして空間充填が思いつきます。これを実現するには、どのようなユニットが必要なのでしょうか? 基礎構造の最もシンプルなパターンとして、正四面体と正八面体による空間充填を考えてみます。このパターンは使用する角度が全て同じなので、作りやすそうというのが理由になります。それ以外だと立方体による充填等も考えられますが、正四面体と正八面体の方が形が面白いので先の課題としておきましょう。

多面体のユニットでは、基本的に「頂点」「辺」「面」のどれかをパーツの単位となっています。頂点は集まるカドが多くなりすぎ、面は組み合わせ方がすぐに思いつかないこともあり、辺を1パーツとして進めるのがよさそうです。 ということで基礎構造の辺の部分に注目してみると、1つの辺に面が4つ集まっていることがわかります。球状に組む場合は面が2つ接しているので、これをそのまま4面に拡張してやればよさそうです。実際にやることとしてはヒダを増やすだけで、特別なことはしていないのですが、とりあえず見覚えがないので、少なくとも有名な前例はなさそうです。

ということで、実際に折ってみたのが本作で、予想通りの形が予想通りに完成しました。

……というのを、多分2005年ごろに考え試作したのを思い出し、再度折ってみました。 装飾は一切ない地味な外見ですが、多面体以外の組み方の可能性を探す野心的な実験作と書くと、なんとなく凄そうな感じがしませんか?

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