折紙探偵団マガジン181号にカモシカの折り図が掲載されました。作品と折り図の解説を簡単に箇条書きで。
なぜカモシカ?
- 昔折ってみたらどうなるかと考えた事があった。小さい頃に家族と訪れた鈴鹿の日本カモシカセンターでの事。
- そういえば作例が少ない。
- それなりに親近感のある題材。日本の動物っていいよね。
- というような事を、「シカもカモシカもたしかシカだがアシカはたしかシカではない」という早口言葉からふと連想した。まあ切っ掛けなんてそんなものです。
着想と構造等
- 頭部をカエルの基本形から折ることができそう。ツノの長さとか丁度良さそう。
- とりあえず外側にヒダを配置して頭部の構造を折り出す。
- ヒダと内側の22.5度の構造を合わせて前脚の位置と長さ決定。この辺は22.5度の距離感で決めている。
- 後脚の位置と構造はかなり悩んだが、最終的には効率と尻と尾の折り出しの良さから現在の位置と構造に決定。特に前脚付け根から後脚への沈め折りは会心の一手(手順104)。
- 頭部は現物(剥製だけれど)と見比べながら試行錯誤した結果、カエルの基本形からツノの位置をずらす構造を採用。目の折り出しに余裕ができた、大きすぎた耳のカドが適度に小さく良い感じの形になるなど、ほぼ全てが良い方向でまとまった。
- 後脚はいろいろ比較検討した結果、ぐらい要素少なめの形に収まった。また足先についても紙の厚みがうまく分散された。ある程度はどう折っても形にはなる部分で、最善と思われる手を比較検討するのは大切。
手順
- 6+√2の折り出しはこれまでとは違う方法。より折りやすく使いやすいはず。
- 25と55の繰り返し感は韻を踏んでいるようで面白い。
- 61-62で一旦沈めてから戻すのは、折りやすさと100で立体図を描きたくなかったから。難しい手順で一度先に折っておくのはかなり有効。
- 頭部の手順はちょっとややこしいけれど、構造の制約上、多分これが一番折りやすい。
- 111、113の折り筋は、つけておくと折りやすさがかなり違う。
- 134は前の隙間を広げて折る。後ろでも折ることができるけど収まりは悪くなる。
- 148、カドの先の蹄の部分は、隙間の位置は違うけれど、前後共に厚みの条件は同じ。
- 153、尾の折りだしとロックを兼ねた手順。個人的にすごく好きな構造。
- 163他、ツノをずらした最大の利点は耳の形、特にカドの角度が90度になったことだと思う。
- というような折り図の工夫や意図等を読み取れると、折り図を読むのが少し楽しくなると思う。でも普通しないし相当意識しないと出来ない。
その他
- 目の部分に裏面が出るので、頭の部分だけ裏打ちして色分けするとよい。
- 作例は揉み紙。講習では里紙(50cm)を使用。
- 題材は少し地味だけれど、構造・造形共に作者満足度の高い作品です。ぜひ折ってみてください。